経費削減とは?効果的な方法や実践のポイントを解説
多くの会社は売上増加には熱心に取り組みますが、消耗品などや交通費、光熱費などの経費削減はなぜか後回しになっています。どのような状況でも利益を出していくために、いかに経費を節約・削減できるかを考えることが重要となります。
そこで、今回は経費ごとに経費削減の方法を解説していきます。
目次[非表示]
- 1.経費とは?
- 2.経費削減とは?
- 3.効果的な方法や実践のポイントとは
- 3.1.助成金・補助金の活用
- 3.2.コスト削減の中でも多くの企業が取り組む「出張費削減」
- 3.3.出張費削減に取り組む前にやっておきたいこと
- 3.4.販管費削減のポイント
- 3.5.間接費削減方法
経費とは?
経費とは何かを考える際に、経費と費用、損金との違いを理解する必要があります。どれも現金を含む資産の消費(経済的価値の減少)のことではありますが微妙な意味の違いがあります。
▶ 経費とは
経費とは、費用や損金と同じような意味で使われますが、明確に定義することが難しい資産の消費(経済的価値の減少)のことです。会社内で「経費で処理する」「経費で落とす」など聞いたことがあるかと思いますが、個人的に使った費用ではなく企業の事業運営のために使った費用あるいは損金が経費という意味です。
▶ 費用とは
費用とは、一般的に会社が事業運営のために支出したお金のことです。金銭の支出のない減価償却費や貸倒金も費用に含まれます。ただし、事業運営のために支出したお金であっても、会計上・税法上で費用として認められない場合があります。例えば、会社の事業運営とは関係のない個人的な支出や、交通違反の罰金や使途不明金などは事業運営のために必要であっても費用にできません。
▶ 損金とは
損金とは、税務処理上で経費にできる資産の消費(経済的な価値の減少)のことです。事業運営のための支出は費用として認められますが、損金は一定の条件を満たさないと費用(=経費)になりません。つまり法人税を計算するときに収益から控除でききる経費が損金です。
関連情報
経費削減とは?
経費削減をおろそかにしてはいけない2つの理由
経費を削減する効果的な方法や実践のポイントを紹介する前に、「経費削減をおろそかにしてはいけない2つの理由」を理解しておくことで経費削減の効果がわかり、より効果的に経費削減に取り組むことができます。
経費削減をおろそかにしてはいけない1つ目の理由は、「小さな経費削減でも利益を増大させる効果が大きい」ことです。
2つ目の理由は「悪い経費削減は会社経営悪化への悪循環を招く」ことです。
▶ 小さな経費削減は売上増加を頑張るよりも利益を増大させる効果が大きい
経費削減に意味がないと考えている会社経営者はいないと思います。
しかし、予算で決めた経費は使用しないといけない経費として認識されていることが多く、経費の費用対効果をしっかり検証しなかったり、あるいは経費削減よりも売上増加に注力してしまい、経費削減を後回しにしている経営者も多く見られます。
▶ 悪い経費削減は経営悪化への悪循環を招く
多くの会社は売上予算を達成するために業務を遂行しますが、その結果が思わしくない場合、売上予算の達成は諦めて、利益予算だけは達成しようと経費予算の削減を実行することがあります。
収入が少なくなれば支出を減らすことは会社存続に必要なことなので、経費予算の削減は対策としては間違いありません。
しかし、多くの会社は一律で経費の削減を行うことが多く、会社経営にとっては必要な経費も削減対象にしていることが見受けられます。
必要な経費まで削減してしまうと会社経営は縮小していき、最後には削減できる経費がなくなり会社を存続させることが難しくなります。
関連情報
効果的な方法や実践のポイントとは
助成金・補助金の活用
コロナ禍の際は、助成金や補助金が国や地方公共団体から多く案内されていました。このような助成金や補助金を有効活用することで、企業の経費を削減する効果が期待できます。
▶ 助成金・補助金とは
助成金とは、雇用や労使に関連することに対して、国や自治体が企業や事業主に対して支給します。
補助金は、国や自治体の政策のために目的に合った事業を行う企業や事業主に対して支給されます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大した際は、国や自治体は、特別に助成金や補助金制度を設けていました。
▶ 助成金・補助金の例
助成金や補助金は次のような経費削減に活用することができます。
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
厚生労働省が管轄の雇用維持に関係する助成金です。休業や教育訓練や出向を通じて従業員の雇用を維持するものです。
特例の内容としては、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。
関連情報
コスト削減の中でも多くの企業が取り組む「出張費削減」
出張が多い企業は特に出張費のコスト削減に取り組んでいるといわれています。
その理由は、他の経費に比べ出張費の費用が金額的にも大きいため効率よく経費削減がしやすい点が挙げられます。
各社で定めている出張旅費規程で、出張時の各種費用の上限などは決められていますが、細かくすべてが指定されているわけではなく、交通手段やルート、宿泊先ホテルの選定などは出張者の判断にある程度ゆだねられているのが一般的です。
しかし、それが原因で経費が高騰していたり、無駄なコストが発生していることもあります。
このような理由から、出張の多い企業では他の経費削減以上に出張費の削減に取り組んでいます。会社の戦略として、全社的に出張費の経費削減に取り組んでいることもあるほどです。
出張費削減に取り組む前にやっておきたいこと
出張経費削減は、いかに効果的な仕組み作りを徹底して行うかということが重要なため、出張費管理の方法を構築する必要があります。
そこで、出張経費削減に取り組む前に、やるべきことをご紹介します。
▶ 出張費でかかる無駄コストを洗い出す
まずは、何を削減するのかを明確にします。出張経費の無駄はどこで発生しているのかを洗い出し、ランキング形式の一覧にしてみます。
▶ 他社事例を情報収集する
出張経費の無駄コストが具体的に何か分かったら、実際にコスト削減を実現した事例を探します。インターネットでの情報収集や、他社サービスが提供しているコスト削減事例集などを確認し、その中から自社の状況に合ったものを見つけ、最大限にコスト削減の効果が出る方法を見つけます。
▶ 出張管理ができるサービスを探す
出張経費削減の最大のポイントは、仕組み化することです。仕組み化にはツールの導入や、サービスに委託するといった方法が考えられます。
▶ 出張の必要性を根本的に考える
不必要な出張によるコスト増ということもあり得ます。そもそも出張の定義を見直すことも、会社の戦略としてのコスト削減であれば必要なことでしょう。
関連情報
販管費削減のポイント
企業の営業利益を上げる方法には、売上・総利益を上げることと、経費などの販管費削減の2方向のアプローチがあります。
販管費を削減するポイントをご紹介します。
▶ 人件費
販管費といえば人件費といわれるほど、人件費の削減をすることは販管費を削減することにつながります。
場合によって、雇用契約内容や給与、退職金制度の見直しが必要になります。
▶ 経営層の報酬等を見直す
経営層の立場から見た場合に、販管費を削減できるポイントとして取りかかりやすいのが役員報酬や接待交遊費などの削減です。
経営層が調整しやすい範囲で、削減できるところがないか見直します。
▶ 販売活動費
販売活動費は、販売に関わる経費ですが、例えば広告宣伝費であれば広告宣伝の実施の見直しや改善、コストダウン交渉などを行い経費削減する方法があります。
▶ 維持費等
会社を維持するために必要となる、オフィスの家賃や光熱費、設備等の減価償却費といった費用は、定期的に見直し削減するのが一般的です。
関連情報
販管費の削減方法と削減のポイント
間接費削減方法
間接費を削減するためのポイントをご紹介します。
▶ 間接材料費を下げる
間接材料費とは、商品を製造する際に間接的に発生する材料費のことです。
例えば補助材料、工場消耗品、消耗工具器具などがありますが、材料費を削減するポイントは、できるだけ安く、必要な分だけを仕入れることにあります。また不要な在庫を抱えないことも重要です。
具体的には仕入れ方法を一括仕入れに変更したり、単価の交渉するなどの方法があります。
▶ 間接労務費を下げる
間接労務費とは、商品製造には関係がないところで人材にかかった費用のことです。
間接作業賃金、従業員の賞与や手当、福利費などがあり、労務費を削減するポイントは、不要な業務を無くすことです。
やらなくていいことをやめることで間接労務費は削減できます。
またIT化による業務の効率化、奨励制度により社員のやる気を上げて生産性を上げる、正社員、パート・アルバイト毎に業務を適正に振り分けて人件費を下げるなどの方法があります。
▶ 間接経費を下げる
間接経費とは、商品の製造に間接的に関わる費用です。
例えば機器の減価償却費、オフィスや工場の賃借料、保険料、電気水道ガス代、出張時の旅費交通費などがあり、間接経費を削減するポイントは、電気代であれば料金コースの見直しや電球をLEDに変えるなどの方法があります。
水道、ガスも同様に見直しが有効です。
また出張時の旅費交通費については、出張手配システムを導入することで経費を削減することができます。出張手配システムはコスト削減だけでなく紙の書類を電子化することでペーパーレス化による経費削減ができ、担当者の作業時間短縮による効率化にもつながるため、人員の削減が期待でき、間接労務費の削減効果も見込めます。
関連情報
あらゆる経費データを連携し、「確実で」「手間のかからない」経費精算を実現します。
関連コラム