節税にもつながる!旅費交通費の経費計上で注意が必要なポイントとは
役員や従業員が会社の業務を行うためにかかる旅費交通費は、基本的には経費に計上することが可能です。しかし、すべてが計上できるわけではなく、条件に当てはまらない部分があると計上できなかったり、他の勘定科目に計上したりすることになるので、仕訳などに注意が必要です。経費の中でも特にひんぱんに発生する、旅費交通費をスムーズに処理するために経理担当者が押さえておきたいポイントをまとめました。
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▼出張の周辺業務を効率化するための3つのポイントと、具体的な実施方法をご紹介します。
交通費は目的がわかるように精算書を作成して経費に計上する
業務を遂行するために必要な交通費は、実費を経費として計上することが認められます。内訳としては、電車賃やバス代、タクシー代、有料道路の料金、駐車場代などになります。
交通費は領収書がなくても計上できる経費ではありますが、税務上、業務に必要な交通費だとわかるようにしておくことが求められます。経理担当者は、行き先、目的、支払先(交通手段)などが明確になる形で交通費精算書のフォームを決めて、精算するようにしておきましょう。
業務に必要なら、タクシーの利用も税務上認められます。タクシーの利用規程をはじめ、有料道路の料金などの領収書の提出などについてもはっきり規程を定めておけば、経理担当者も精算者もスムーズに処理が行えます。
旅費は「出張旅費規程」を定めて旅費交通費に経費計上して節税!
長距離の交通費、日帰りや宿泊をともなう出張についての「旅費」は、個人であれば経費として認められるのは実費のみですが、法人では「出張旅費規程」を作成しておけば、会社にも、役員、従業員にもメリットがあるなど、その違いを理解しておくことが重要です。
会社からは、実費ではなく規定に基づいた交通費、宿泊費用を経費として支払うことができます。また日当も経費として支払い処理ができるようになり、節税になります。
役員、従業員は非課税でそれを受け取ることができるので、双方ともにメリットがあります。規程を作成する場合は、対象者を役員、従業員全員としておくことが必要です。
通勤交通費も経費になり節税対策に!限度額に注意
役員・従業員に給料と合わせて支払う通勤交通費、つまり通勤手当は経費(損金)に計上できます。最も合理的な方法で通勤する場合の通勤に必要な通勤交通費について経費として計上できます。
電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合、月15万円までは所得税や住民税がかからないので、受け取る役員・従業員にとってもメリットがあります。給料とは分けて、通勤手当として支給しましょう。新幹線通勤なども認められますが、15万円を超える分には課税されます。
◆参考「電車・バス通勤者の通勤手当」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2582.htm
自転車や自動車での通勤に対しても、通勤手当てを支給できます。ガソリン代や有料道路の料金、駐車場代も含めることができます。片道の通勤距離によって、非課税限度額が決まっています。
◆参考「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2585.htm
1ヶ月分の定期代を基準として支給する、式を作って計算したガソリン代も支給する、など内規を決めて支給しましょう。
【参考】
社員の交通費計算はどうすればいい?決め方と計算方法を解説
慰安旅行の旅費交通費は旅行内容により経費処理が異なる
役員、従業員の慰安旅行の費用は旅費交通費ではなく「福利厚生費」になります。ただし、以下の一定の要件を満たしていなければなりません。
- 職場の50%以上が参加
- 日数が4泊5日以内
- 1人当たりの費用が10万円以下
また業務に必要な研修を行う内容にすれば「研修費」として経費処理できます。業務に必要な工場見学や視察などを行ったことがわかるようにしておきましょう。
勘定科目は目的で決まることを頭において交通費を経費に計上
ここまで見てきたように、移動にかかった交通費はすべて交通費になるというわけではなく、その目的によって福利厚生費や研修費などに仕訳することになります。
旅費交通費になるのは主に業務の遂行や通勤、転勤や求人活動などです。取引先の招待や接待に使えば交際費に、不特定多数の消費者を招待する場合などは広告宣伝費となります。
経理担当者が上記の点をはっきりと把握しておくのはもちろん、他部署の従業員や役員にもわかりやすくまとめて理解してもらっておけば、税務上のトラブルを減らすことにつながります。
交通費を適切に経費処理して節税につながる環境を整えよう
適切な交通費の経費処理を行うには、まずは経理担当者が税務知識を十分理解したうえで、実際に使う役員、従業員にもわかりやすい内規を作成して周知することが大切です。
業務に必要な交通費だと明確にわかる精算をして、会社にとっても役員・従業員にとってもプラスになる適正な処理が円滑に進められる体制を整えましょう。
▼出張の周辺業務を効率化するための3つのポイントと、具体的な実施方法をご紹介します。