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社員の交通費計算はどうすればいい?決め方と計算方法を解説

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交通費の精算業務は毎日発生し多くの企業は伝票による処理が多いため、経理課が行う経費処理業務のなかでも処理数が多く処理も煩雑です。また、交通手段も公共交通機関や社用車・自家用車なども利用できるので、ルールや規定を明確にしていないと経費処理に時間がかかって非効率になります。交通費の処理業務は、会社経営の利益には直接貢献しないだけにできるだけ簡単に正確に速く行えるようにすることが必要です。そこで、交通費の計算を簡単に速くできるようにするための交通費の処理に関して必要な知識と計算方法について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.交通費の法律上の支払い義務と非課税限度額
    1. 1.1.交通費の法律上の支払い義務
    2. 1.2.通勤のための交通費の非課税限度額と支給限度額の関係
  2. 2.通勤交通費の支給方法と計算方法
    1. 2.1.公共交通機関のみを利用した場合
    2. 2.2.自動車・バイクのみを利用した場合
    3. 2.3.公共交通機関と自動車・バイクの両方を利用の場合
  3. 3.出張やその他通勤以外の交通費の決め方と計算方法
  4. 4.交通費を支給する際の注意点
  5. 5.まとめ


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交通費の法律上の支払い義務と非課税限度額

交通費の法律上の支払い義務

交通費は多くの会社が支払っているので法律で支給が決められているように思われていますが、法律上は交通費の支払いは会社に義務づけられていません。極端な例として通勤のための交通費をまったく支給しなくても法律上は問題ありません。

ただし、労働基準法は就業規則を作る場合には必ず記載しなければならない事項を定めています。そのなかに「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合、これに関する事項」があり、支給条件などの規則を作成し労働基準監督署に届け出なければならないと定めています。交通費とは明示されていませんが含まれると考えられ、出張のための交通費や営業社員が外回りをするときの交通費は、支給条件を定めてその条件に従って支払う義務があります。

通勤のための交通費は、法律による支払い義務で支給しているのではなく、福利厚生費として会社が負担しています。会社は支給条件を就業規則や雇用契約書で任意に決められます。そのため会社ごとに交通費が全額支給であったり、一部支給であったりと同じではありません。また、支給条件も現金や定期券の現物支給などさまざまな方法を選択できます。


通勤のための交通費の非課税限度額と支給限度額の関係

国税庁は、通勤ために支給される交通費に非課税限度額を設けています。非課税限度額以内の交通費には所得税が課税されませんが、非課税限度額をこえて支給された金額は給与とみなされて所得税が課税されます。会社は、遠方から新幹線などを使って通勤されて交通費の負担が大きくなることを避けるために通勤交通費の支給限度額を設けています。多くの会社は支給限度額を非課税限度額と同じにしています。特に同じにしなければならない理由はありませんが、非課税限度額をこえると社員に所得税が課税されるためにそれを避けるには非課税限度が以内にすることが合理的であること、および社員に対する交通費支給額として公平性が保てるからと考えられます。

なお、非課税限度額が設けられている理由の1つは、非課税限度額がないと同じ給与の人でも交通費が多いか少ないかで手取り額が違ってくる不公平さを解消するためです。遠方から通勤して交通費の高額な人は、交通費が給与にプラスされて課税額が増えます。一方、近くから通勤してくる人は交通費が少なく課税額も少なくて済みます。交通費の非課税限度額の詳細については別途詳しく解説しています。


【参考】

通勤交通費の課税・非課税を分ける限度額はいくら?


通勤交通費の支給方法と計算方法

多くの会社では、交通費の支給方法と計算方法を「公共交通機関のみの利用」「自動車・バイクのみの利用」、および「公共交通機関と自動車・バイクの両方の利用」の3つに分けて規定しています。

通勤交通費の決め方と計算方法を3つの場合に分けて紹介します。


公共交通機関のみを利用した場合

通勤手段として電車やバスなどの公共の交通機関を利用して通勤する場合は、その区間の1カ月の定期代が交通費として支給されるのが一般的です。ただし、6カ月の定期代を支給しても特に問題がありません。交通費の計算は、通勤ルートと1カ月の定期代がいくらかを社員から申告してもらい、通勤ルートや利用駅に問題がなく定期代の金額も間違っていないことが確認できればその費用を支給します。また、支給限度額は非課税限度額を採用する会社が一般的です。なお、回り道や特急、グリーン車の利用などによる費用は合理的な通勤方法とはいえないため非課税の通勤費としては認められません。


自動車・バイクのみを利用した場合

通勤手段として自動車・バイクを利用したマイカー通勤の場合は、交通費の計算方法は就業規則やその他の社内規定で会社ごとに決められています。一般的には、支給額は自宅からの会社までの往復距離×1カ月の平均労働日数×ガソリン代÷平均燃費で決められています。社員に通勤に要する往復距離と簡単なルートを申告してもらい、その距離とルートに問題がなければ、会社で月の平均労働日数とガソリン代、および燃費を設定して計算します。

なお、ガソリン代は変動します。規定を都度変更するのは大変なので燃費とともに社員に有利になるように設定すると変更する手間がかかりません。自動車とバイクでは燃費が大きく異なるので、経費を節約するためには燃費を別にしても問題ありません。

また、経理処理が面倒になりますが、実費の申告による支給でも問題ありません。自動車・バイクを利用した場合の支給限度額は公共交通機関の利用と同様に非課税限度額が一般的に採用されています。

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公共交通機関と自動車・バイクの両方を利用の場合

通勤手段として公共交通機関と自動車・バイクの両方を利用の場合は、それぞれの通勤手段ごとにルートと定期代または距離を社員に申告してもらいルートや距離に問題がなければ、それぞれに決められた通勤交通費の方法で計算された合計金額が通勤交通費としての支給額となります。支給限度額は非課税限度額が大きい公共交通機関のみを利用した場合の金額が用いられるのが一般的です。


出張やその他通勤以外の交通費の決め方と計算方法

仕事のために行う出張旅費や営業で公共交通機関を利用するときは多くの会社は実費による精算を行っています。非課税の限度額や支給限度額もありません。通常、公共交通機関は領収書が発行されないのでルートが適切か費用が間違っていないかを確認し、出張報告書や営業報告書とセットになった伝票で交通費が都度精算されるのが一般的です。

タクシーなど領収書がもらえる交通機関を利用した場合は、規則で領収書の添付がなければ支給しないとすることでムダな経費を抑えられます。営業社員で毎日交通費が発生する場合は、営業日報で交通費を報告させて、定期的に数日分をまとめて経理課や営業担当者が伝票を作成して支給をすると、都度精算して支給するよりも手間が省けます。

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【参考】

節税にもつながる!旅費交通費の経費計上で注意が必要なポイントとは


交通費を支給する際の注意点

企業が従業員に交通費を支給する際の注意点をご紹介します。

不正受給

不正受給は、経理担当者の確認漏れや、従業員が故意に不正をしようと考え発生することをイメージするかもしれませんが、不正をしようと思っていない場合でも発生してしまうケースがあります。自宅から会社までの経路の確認ミスや金額の算出間違い、また引っ越し後の申請忘れ等で通勤手当を本来の金額以上に受給し続けていた等、本人に不正の意思がなくとも不正受給とみなされることもあります。最悪の場合、従業員を懲戒処分したりしなければならないこともあるため、従業員、また担当者は交通費計算をする際に、十分に注意する必要があります。


関連コラム:経理担当者が知っておきたいカラ出張などの経費に関する社内不正


就業規則での設定

就業規則等で交通費支給の規定を設けている場合、会社の状況や、世の中の状況に応じて交通費に関わる規定を見直す必要があります。社員数が多ければ、支払う交通費も増えますので、会社の経営状況と照らし合わせ適正な内容となっているか、また物価の高騰等で交通費の値上がりもありますので、上限金額を設けなくてもよいか等を検討する必要があります。パートやアルバイトの方を雇用している企業では、その対応を検討することも必要です。
またテレワークが浸透する中で、出社日数によっては定期券ではなく実費での請求にしたほうが安くなるケースもありますので、細かに設定する必要があります。


まとめ

交通費の決め方は法律で規定されていないので会社が自由に決められること、および一般的に多くの会社が交通費として決めている方法と計算方法について紹介しました。交通費の精算業務は処理件数が多いだけにできるだけ効率よく行う方法を取り入れることが重要です。そのためには就業規則や社内規定で交通費の処理に関してルールを明確にしておくとスムーズな処理ができます。本記事を参考にルールと計算方法を明確にすると交通費の処理を軽減できます。

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経費精算システム「J'sNAVI NEO」編集部 経費精算や出張管理業務の効率化を追求してきた20年の実績を活かし、経理や人事のバックオフィス業務をはじめとするビジネスに役立つ情報を更新しています。

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