
発言しやすいはずなのに、なぜ会議で意見が出ないのか~心理的居場所感という観点~
近年、組織づくりや会議運営の場では、「発言しやすい雰囲気をつくる」「まずは相手の意見を受け止める」といった、心理的安全性を重視した取り組みが広がっています。実際に、多様な意見を出しやすい環境づくりに注力している企業も増えているのではないでしょうか。
しかしその一方で、心理的安全性が確保されているように見える場面でも、「なかなか意見が出ない」「いつも同じ人ばかりが話している」といった状況が見られることがあります。会議を開いても会話が一部の参加者に偏ってしまい、十分に議論が深まらないと感じた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
こうした背景から近年では、単に「安心して話せる環境」だけではなく、「自分には役割がある」「自分らしく居られる」と感じられる“心理的居場所感”という観点にも注目が集まっています。
本記事では、心理的居場所感の考え方や、会議における発言停滞との関係、場の状態を可視化する「Baoble(バオブル)」について解説します。
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心理的居場所感とは
近年、組織づくりや人材定着の観点から、「心理的居場所感」という考え方が注目されています。
「心理的居場所感」研究の第一人者である中村准子氏の研究によれば、居場所感は「役割感」「安心感」「本来感」の3つの要素で構成されるとされています。
- 役割感:自分が他者のために役に立っていると感じられること
- 安心感:安心して落ち着いた気持ちで居られること
- 本来感:自分を見失わず、自分らしく居られると感じること
単に人間関係が良い状態を指すのではなく、一人ひとりが「ここに自分の居場所がある」と感じられる環境を整えることが重要だと考えられています。
企業において心理的居場所感が醸成されることで、従業員同士が互いの価値観を尊重しながらコミュニケーションを取りやすくなり、組織として同じ目標に向かってベクトルを合わせやすくなることも期待されます。
発言の停滞は、心理的安全性だけでは捉えきれない可能性
心理的安全性が確保されているように見える場合でも、会議で意見が出にくい状況は起こり得るかもしれません。
例えば、安心して発言できる空気感があったとしても、「自分がここで話す意味があるのか」「自分の意見が役に立つのか」といった役割感を持てなければ、発言にはつながりにくくなる可能性があります。
また、役割を与えられていたとしても、本来感が損なわれている状態では、自分らしい意見や率直な考えを表現しづらくなることも考えられます。周囲に合わせようとする意識が強くなり、本音でのコミュニケーションが抑制されてしまうケースもあるでしょう。
このように、単に「安心して話せる環境」を整えるだけでは、組織内の対話が十分に活性化するとは限りません。結果として、発言が一部の参加者に集中しやすくなったり、会話が特定の関係性の中だけで完結してしまったりする可能性もあります。
そのため、会議や組織内コミュニケーションを活性化するには、心理的安全性に加えて、「自分には役割がある」「自分らしく居られる」といった心理的居場所感の観点も含めて捉えることが重要だと考えられます。
場の状態を客観的に捉える「Baoble(バオブル)」場の状態を客観的に捉える「Baoble(バオブル)」
会議の状態を改善していくためには、「なんとなく話しやすかった」「意見が出ていた気がする」といった主観的な印象だけでなく、場の状態を客観的に捉える視点も重要です。
Baoble(バオブル)では、会議中のコミュニケーションの状態を可視化することで、組織内の対話の傾向を把握しやすくなる仕組みを提供しています。例えば、次のような観点を確認できます。
- 誰がどの程度発言しているか

- 誰と誰のやりとりが活発であったか

こうした情報を継続的に追うことで、「今回は発言が偏っていた」「以前より多くの人が会話に参加している」といった変化を把握しやすくなり、単発的な印象に頼らずに会議改善へ取り組みやすくなる可能性があります。
また、発言量やコミュニケーションの偏りを可視化することで、「自分も発言して良い」「自分にも役割がある」と感じやすい環境づくりにつながることも期待されます。こうした積み重ねは、安心感や役割感といった心理的居場所感の形成にもつながる可能性があります。
まとめ
この記事では、心理的居場所感の考え方や、会議・組織コミュニケーションとの関係性、会議の状態を可視化する「Baoble(バオブル)」について以下の内容を解説しました。
- 心理的居場所感とは、「役割感」「安心感」「本来感」の3つの要素で構成される考え方
- 安心して話せる環境があっても、役割感や本来感が不足すると発言が生まれにくくなる可能性がある
- 会議における発言の偏りや対話の停滞は、心理的安全性だけでは捉えきれない場合がある
- Baoble(バオブル)では、発言量やコミュニケーションの傾向を可視化することで、会議改善や対話活性化に取り組みやすくなる
組織内のコミュニケーションを活性化するためには、単に「安心して話せる環境」を整えるだけでなく、「自分には役割がある」「自分らしく居られる」と感じられる状態をつくることも重要だと考えられます。
また、会議の状態を客観的に把握し、継続的に改善していく視点を持つことで、より多様な意見が生まれやすい組織づくりにつながる可能性があります。今回ご紹介した心理的居場所感の考え方やBaoble(バオブル)のような可視化の仕組みも参考にしながら、自社に合ったコミュニケーション環境の構築を検討してみてはいかがでしょうか。
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引用文献
中村准子・岡田昌毅2019 企業で働く人の職業生活における心理的居場所感の変容プロセスと影響要因に関する探索的研究 産業・組織心理学研究,33(1),19-33.




