大学運営の変化を、旅費・経費DXの好機に~ある大学の実践から考える、ルールの標準化と業務プロセス改革~

大学運営の変化を、旅費・経費DXの好機に~ある大学の実践から考える、ルールの標準化と業務プロセス改革~

大学を取り巻く環境が変化するなか、旅費・経費業務をどのように見直せばよいのでしょうか。

大学統合や組織再編に限らず、部局ごとの運用の違い、紙を前提とした業務、属人的な判断など、多くの大学ではさまざまな業務課題を抱えています。一方で、単にシステムを導入するだけでは、業務改革につながらないケースも少なくありません。

本コラムでは、大学統合という大きな組織変化を契機に旅費・経費業務の見直しに取り組んだ大学の事例を手がかりに、大学における旅費・経費DXを成功に導くポイントを考えます。

目次[非表示]

  1. 1.組織の変化を、業務を見直す契機にする
  2. 2.システム導入の前提となる「ルールの標準化」
  3. 3.「申請・予約・精算」を一つの業務としてつなぐ
  4. 4.利便性とガバナンスを両立する
  5. 5.新しい仕組みを定着させる、現場との対話
  6. 6.導入後は「変化を測り、改善を続ける」段階へ
  7. 7.旅費・経費DXを進める大学への示唆

組織の変化を、業務を見直す契機にする

大学を取り巻く環境は、組織再編や業務集約、キャンパス再配置などを背景に変化を続けています。本コラムでご紹介する大学でも、大学統合という大きな組織変化を契機に、旅費・経費業務の見直しが進められました。

統合前の2大学では、それぞれ異なる業務運用が行われていました。システム活用の状況だけでなく、旅費・経費業務に関するルールや判断基準、事務手続きの進め方にも違いがあり、統合後の業務運用をどのように統一していくかが課題となっていました。

また、キャンパスが分散するなかで、紙書類を前提とした業務運用にも限界が見え始めていました。規程の大枠を統一するだけでは解決できない課題も多く、大学全体として、より効率的で分かりやすい業務のあり方が求められていたのです。

そこで同大学は、既存業務をそのままシステム化するのではなく、旅費・経費業務そのものを見直し、ルールと運用の標準化を目指しました。環境変化を単なる対応課題として捉えるのではなく、業務改革の契機として位置付けたことが、この取り組みの出発点となりました。

システム導入の前提となる「ルールの標準化」

今回の取り組みで特徴的なのは、システム導入そのものを目的にしなかった点です。

従来は、同じ旅費申請であっても、担当者によって確認ポイントや判断基準が異なる場面がありました。その結果、教職員にとって分かりにくく、事務担当者にとっても確認負担の大きい業務となっていました。

そこで、システム導入に合わせて、旅費計算や申請に関するルールそのものを整理しました。

例えば、旅費計算では経路検索結果を活用し、担当者が個別に経路を判断する場面を削減しました。また、特急や航空機利用の条件についても見直しを行い、より分かりやすい基準へ整理しています。

目指したのは、「誰が処理しても同じ判断ができる状態」です。

ルールをシンプルにすることで、教職員は申請しやすくなり、事務担当者は確認や突合作業を減らしやすくなります。ルールの標準化は、DXを機能させるための重要な前提条件といえるでしょう。

「申請・予約・精算」を一つの業務としてつなぐ

ルールの標準化を進めると同時に、同大学が取り組んだのが、旅費・経費業務全体の流れを見直すことでした。

従来、出張に関する手続きは、出張申請、交通機関や航空券の手配、出張後の精算など、それぞれが独立した業務として扱われることも少なくありませんでした。そのため、同じ情報を複数回入力したり、申請内容と予約内容、精算内容を個別に確認したりする必要があり、教職員と事務担当者の双方に負担が生じる要因となっていました。

そこで同大学では、「申請」「予約」「精算」を別々の業務として考えるのではなく、「出張」という一つの業務プロセスとして捉え直しました。出張に関する情報を業務の流れに沿って連携させることで、教職員と事務担当者それぞれの業務を、よりスムーズにつなぐことを目指しました。

教職員にとっては、出張に伴う手続きを一元的に管理しやすくなり、事務担当者にとっても、確認や突合作業の効率化につながります。また、システム上で一定のチェックを行うことで、入力漏れやルールに沿わない申請についても、早い段階で確認できるようになります。

同大学では、この一連の業務プロセスを支える仕組みとして、経費精算システムと出張予約システムを活用し、申請から予約、精算までの連携を実現しました。

利便性とガバナンスを両立する

大学の旅費・経費業務では、教職員の利便性と公費執行の適正性を両立させることが求められます。しかし、組織規模が大きくなるほど、すべての申請を人手で細かく確認する運用には限界があります。

そこで同大学では、ルールを整理したうえでシステムによるチェック機能を活用し、適正な申請を支援する仕組みを整備しました。

重要なのは、「ルールを増やして人がチェックする」のではなく、「分かりやすいルールと仕組みで適正な運用を支える」という考え方です。その結果、事務担当者は機械的な確認作業から解放され、より重要な確認や支援業務に注力しやすくなります。

新しい仕組みを定着させる、現場との対話

どれだけ優れた仕組みを導入しても、利用する教職員や事務担当者に定着しなければDXの効果は発揮されません。同大学でも、システム導入当初は「以前の方が使いやすかった」「入力が増えた」といった声があったといいます。

そこで、マニュアル整備やアンケート実施に加え、現場の担当者との対話を重ねながら運用定着に取り組みました。特に重視されたのは、「どう操作するか」ではなく、「なぜ変えるのか」を共有することです。業務効率化だけでなく、将来的には教職員が研究・教育活動により多くの時間を使えるようにすること。その目的を丁寧に伝え続けたことが、定着を支える重要な要素となりました。

導入後は「変化を測り、改善を続ける」段階へ

システムは2026年4月に本格稼働を開始しました。現在は、導入効果を測定しながら運用を改善していく段階にあります。

現時点では定量的な効果を示す段階ではありませんが、申請・予約・精算を一連の流れとして管理し、業務データを蓄積できる基盤は整いました。

今後は利用状況や問い合わせ内容、差戻しの傾向などを分析しながら、さらなる業務改善やデータ活用を進めていくことが期待されます。

DXはシステム導入で完了するものではありません。導入後に改善を繰り返しながら価値を高めていく継続的な取り組みなのです。

旅費・経費DXを進める大学への示唆

今回の取り組みから見えてくるのは、DXの成否は「どのシステムを導入するか」だけでは決まらないということです。

重要なポイントは次の3つです。

・既存のルールや業務慣行を見直し、共通ルールを整備すること

・申請・予約・精算を一つの業務プロセスとして捉えること

・現場と対話しながら新しい運用を定着させること

大学統合は、この大学が旅費・経費業務を見直す契機となりました。しかし、そこで向き合った課題の多くは、統合を予定する大学だけのものではありません。部局ごとの運用差異、紙を前提とした手続き、属人的な判断、分断された業務プロセスなど、多くの大学に共通するテーマです。

今回の取り組みでは、まず業務ルールの整理・標準化を行い、そのうえで申請・予約・精算を一つの業務プロセスとして再設計しました。

その改革を支える基盤として活用されたのが、経費精算システム「bt-Ace」と出張予約システム「ビズバンスJTB出張予約」です。両システムを組み合わせることで、旅費・経費業務の一気通貫化を実現し、教職員の利便性向上と事務業務の効率化の両立を支援しています。

「システムを導入する」のではなく、「業務を変えるためにシステムを活用する」。

大学における旅費・経費DXの本質は、この考え方にあるのではないでしょうか。組織や業務環境の変化を、大学全体の業務をより良くするための機会として捉えることが、改革の第一歩となります。

▼関連コラム

▼関連ソリューション

編集部
編集部
出張管理・経費精算の「ビズバンスJTB出張予約」「ビズバンスJTB経費精算」「ビズバンスJTB経費データ連携」のトータルソリューションを提供。業務課題を目的とした豊富なツールとプロのコンサルティングで効果分析や運用改善をサポートしています。25年という実績を活かし、経理や人事のバックオフィス業務をはじめとするビジネスに役立つ情報を更新しています。

人気コンテンツ

▼【漫画で読む】
今こそ目指せ!
出張手配と経費精算のDX化

今こそ目指せ!出張手配と経費精算のDX化

人気記事ランキング

カテゴリ

タグ一覧

お問い合わせ

出張手配・経費管理に関するご相談やご質問など、お気軽にお問い合わせください。

法人専用窓口 平日:9:30~17:30