経理業務に関わる 電子帳簿保存法の内容とは
電子帳簿保存法は、経理担当者にとって日常的に業務にかかわる重要な法律といえます。経理担当者になって日が浅い場合、よく知らない、正しい理解ができていないという方もいるかもしれません。また、まだ導入していない企業の経理担当者は、興味があるのではないでしょうか。そこで今回は、電子帳簿保存法の基礎知識として、経理業務に関わる内容をご紹介します。
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- 1.電子保存ができる書類
- 1.1.【関連コラム】
- 2.電子帳簿保存法の必要要件
- 2.1.【関連コラム】
- 2.2.税務署長の承認
- 2.3.真実性・可視性の確保
- 3.まとめ
電子保存ができる書類
電子帳簿保存法とは、文字通り、指定の書類の電子データによる保存を認めた法律です。
国税関係書類の全部、または一部を電子データによって保存することが認められています。そして平成17年度の改正時には、国税関係書類をスキャナで読み取って電子化した上で保存することも認められました。この電子帳簿保存を導入することにより、紙の書類の管理コスト削減が可能になります。
そもそも、国税関係書類とはどのような書類なのでしょうか。それは、法人税法や 消費税法などの税法上、保存義務のある決算書類や取引書類です。
具体的に、次のものがあります。
取引関係書類
領収書、請求書、見積書、契約書、注文書など
帳簿・伝票類
総勘定元帳、仕訳帳、現金出納表など
決算書類
賃借対照表、損益計算書、棚卸表など
きっと、これらの書類は、経理担当者の方にとって日々の業務になじみ深い名称ではないでしょうか。これらすべてが電子帳簿保存法の対象となっています。
【関連コラム】
電子帳簿保存法の必要要件
電子帳簿保存法は、ただ指定の書類を電子化できるわけではありません。必要要件を満たした上で保存・管理する必要があります。主に、次の必要要件があります。
【関連コラム】
税務署長の承認
電子帳簿保存を適用するためには、税務署長の承認を受ける必要があります。必要書類として、スキャナ保存の承認申請書、国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要が書かれた書類、そして、電子保存を行う事務手続きの概要を記した書類などをそろえて、電子保存を開始する3か月前までに提出する必要があります。
真実性・可視性の確保
電子帳簿保存法では、真実性と可視性の確保が必要になります。平成28年度に規制緩和がされた後の要件を一部みていきましょう。
電子保存、スキャナ保存で、要件、対応書類は異なります。
真実性の確保
入力期間の制限、画像の解像度、タイムスタンプ付与、読み取り情報の保存、バージョン管理、入力者等情報の確認、適正事務処理要件など
例えば、入力期間の制限については、領収書などを受領後、1週間以内、もしくは業務処理の通常期間(1ヶ月以内+1週間以内(業務処理サイクル方式)のいずれかを選択します。受領者本人が入力を行う場合は、3日間以内に実施するという規定があります。
可視性の確保
帳簿との相互関連性、見読可能装置の備付け、システム関係書類の備付け、検索機能など
可視性については、その書類がきちんと見られるか、読めるかどうかということです。また、取引年月日、勘定科目などから検索できるかどうかも求められます。
このことから、電子帳簿保存法を適用するには、要件に沿うために、ある程度、準備が必要であるといえます。そしてそのルールをしっかりと覚えて、順応していく必要があります。
まとめ
電子帳簿保存法は、経理業務に深くかかわる法律であるといえます。要件が緩和されてきていることや、スペースの確保や保管コストの削減といったメリットがあるため、多くの企業が取り入れているのが現状ですが、まずは電子帳簿保存法の内容とメリットを理解し、自社で運用するとしたらどの範囲が最適なのかを検討することが重要です。
また、電子帳簿保存法にまつわる様々な情報が流通していますが、平成17年の改正前の情報を目にすることもあるため、最新の正確な情報を収集することも大事といえます。なお、電子帳簿保存法の適用を決めた後は、要件を満たしたシステムの選定だけでなく、自社運用体制の構築も必要となってくることも念頭に置いておきましょう。