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出張管理(BTM)とは? 整備の必要性と実践するために押さえておきたいポイント

企業の出張業務では、申請・承認・予約・経費精算など複数のプロセスが関係部門にまたがって行われることが多く、担当者の負担の増加や手続きの煩雑化、さらにはミスや不正のリスクを招く要因となっています。

こうした状況を放置すると、業務効率の低下や出張コストの増加、従業員の安全確保に支障をきたす恐れがあります。こうした課題を解決するために必要なのが「出張管理(BTM:Business Travel Management)」です。

この記事では、出張管理の概要や導入のメリット、実践するうえで押さえておきたいポイントについてご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.出張管理(BTM)とは
  2. 2.出張管理(BTM)が重要な主な理由
    1. 2.1.コスト削減
    2. 2.2.不正防止
    3. 2.3.業務効率化と可視化
    4. 2.4.安全配慮義務(危機管理)
  3. 3.出張の具体的なステップ
    1. 3.1.申請〜経費精算までの一般的な流れ
    2. 3.2.よくある失敗と注意点
  4. 4.出張管理(BTM)を実践するために押さえておきたいポイント
    1. 4.1.業務の効率化
    2. 4.2.コスト管理
    3. 4.3.ガバナンス管理
    4. 4.4.リスク管理
  5. 5.まとめ

出張管理(BTM)とは

出張管理とは、企業の従業員が行う出張に関する申請、予約、承認、経費精算、データ分析などを一元的に管理する仕組みです。

出張管理は単なる交通費や宿泊費の把握にとどまらず、出張申請や承認プロセスの効率化、出張費用の適正化、従業員の利便性向上を目的としています。

近年では、この仕組みを支援するクラウド型の出張管理システムが普及し、出張状況をリアルタイムで把握したり、出張レポートを分析して出張戦略を改善したりする企業が増えています。

出張管理(BTM)が重要な主な理由

出張管理は、単なるコスト管理にとどまらず、購買活動の最適化やリスク管理、業務効率の向上など多方面で効果を発揮します。

ここでは、出張管理が重要な主な理由についてご紹介します。

コスト削減

自社の実績を分析・把握し、マーケット状況と比較することで、旅費や宿泊費の基準を統一し、適切な出張ルールのもとで効率的かつ公平な手配が可能になります。

これにより、従業員ごとにばらつきがちな費用を抑え、全体としての出張コストを最適化することが可能です。

また、過去の出張データを、利用頻度の高い交通機関や宿泊施設との法人契約交渉に活用すれば、長期的なコスト削減効果も期待できます。

不正防止

出張管理を徹底することは、不正利用や不適切な申請を防ぐうえで欠かせません。明確な基準と承認プロセスを設けることで、不必要な出張や過大請求を抑制できます。

さらに、システムを活用して履歴や証憑を自動的に記録すれば、チェック体制が強化され、万一の不正も早期に発見することが可能です。

こうした仕組みにより、企業のコンプライアンスを守りながら健全な出張運用を実現できます。

業務効率化と可視化

出張管理を行うことで、申請から承認、予約、精算までの流れを一元的に把握でき、担当者は複数の書類やメールを追う手間を減らせます。

また、出張データを蓄積することで、費用や予約の傾向が明確になり、将来的な出張方針の改善や業務効率化につなげることが可能です。

安全配慮義務(危機管理)

出張管理を徹底することで、従業員の安全を確保するための体制を整えやすくなります。

海外や危険地域への出張では、現地の状況やリスク情報を把握し、迅速に連絡・対応できる仕組みが不可欠です。

こうした安全配慮の仕組みを整えることは、従業員の安心を守るだけでなく、企業の信頼や損失リスクの軽減にもつながります。

出張の具体的なステップ

出張を円滑に進めるためには、各ステップを正しく理解しておくことが重要です。

ここでは、出張申請から経費精算までの流れと、注意すべきポイントについてご紹介します。

申請〜経費精算までの一般的な流れ

出張は、まず出張申請を行い、上長や関係部署の承認を得ることから始まります。

承認後に交通機関や宿泊施設の予約を行い、必要に応じて仮払いを受けます。

その後、日程表や行程表を作成し、出張当日を迎えます。出張終了後は領収書や乗車券・搭乗券の控えなどの証憑を基に経費精算を行い、会社に報告することで一連の出張業務が完了します。

よくある失敗と注意点

出張予約では、社内の出張旅費規程やルールを正しく理解していないと、思わぬトラブルが発生することがあります。

例えば、会社で定められた座席クラスや宿泊費の上限を超えて予約してしまうケースは珍しくありません。こうした規定違反は、あとから規程外承認の取得や上長への説明が必要になり、余計な手間や時間がかかってしまいます。

また、航空券やホテルを早期割引で予約した場合も注意が必要です。出張日程が急に変更になった際には、キャンセル料が高額になることもあり、安く手配したはずが結果的に費用が増えてしまう場合があります。

さらに、出張予約に不慣れだと、必要な手続きやチケットの予約漏れが起こりやすく、慌てて変更作業を行うことで業務に無駄が生じてしまいます。

こうした失敗を防ぐためには、事前に社内規程を確認し、出張管理システムを活用して申請・予約・精算の流れを統一することが重要です。手順やルールを正しく把握することで、出張業務を効率的かつ安全に進めることができます。

出張管理(BTM)を実践するために押さえておきたいポイント

出張管理を実践するために押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

業務の効率化

出張管理を実践するうえで重要なポイントの一つが業務の効率化です。

出張申請や承認、予約、経費精算といった一連のプロセスをシステム上で一元管理することで、担当者の作業負担を減らし、手配や精算にかかる時間を短縮できます。

さらに、オンライン予約や法人一括請求を取り入れれば、立替精算や仮払いの手間を省けるだけでなく、申請書や精算書の手入力や確認ミスの削減にもつながります。

コスト管理

出張管理を実践するうえで欠かせないポイントに、コスト管理も挙げられます。

出張費用は一人ひとりの額が小さくても、全社で見ると大きな支出になるため、適切に管理しなければ無駄が積み重なります。社内規程に沿った交通手段や宿泊先の選定ルールを設けることに加え、出張データを集約・分析してコスト構造を可視化することが重要です。

例えば、特定の路線やホテル利用の傾向を把握することで、法人契約やボリュームディスカウントの交渉材料にもなります。出張コストを戦略的に管理する仕組みを整えることが、出張管理を成功させるための鍵となります。

ガバナンス管理

出張管理を実践するうえで重要なポイントの一つがガバナンス管理です。

出張は金銭や安全に直結する業務であり、規程の不徹底や管理体制の不備があると、経費の不正利用や不適切な出張予約につながるリスクがあります。そのため、明確な出張規程を定めるだけでなく、承認フローや精算ルールを統一し、システム上で透明性を確保することが欠かせません。

また、出張データを蓄積し定期的に監査・分析することで、規程遵守の徹底や改善点の発見につながります。健全な統制環境を整えることこそ、出張管理を成功させるための基盤といえます。

リスク管理

出張管理を実践する際には、リスク管理も欠かせないポイントです。特に海外出張では、テロや自然災害、感染症など予測できないリスクが常に存在します。

こうした状況に備えるためには、出張者の出張計画や滞在先を把握し、万一の事態が発生した際に迅速に連絡・支援できる体制を整えることが重要です。

また、渡航先の安全情報や危険地域の最新データを共有し、事前のリスク回避を徹底することも効果的です。従業員の安全を確保し、企業としての安全配慮義務を果たすことが、出張管理を実践するうえでの重要な柱となります。

まとめ

この記事では、出張管理の基本的な仕組みや重要性、実践にあたって押さえておきたいポイントについて以下の内容を解説しました。

  • 出張管理は、申請から承認、予約、精算、データ分析までを一元的に管理する仕組み
  • 出張管理を行うことで、コスト削減、不正防止、業務効率化、安全配慮義務の徹底といった効果を得られる
  • 出張は、申請〜精算までの流れを正しく理解し、社内規程やルールに沿って進めることが重要
  • 出張管理を実践するために重要なポイントは「業務効率化」「コスト管理」「ガバナンス管理」「リスク管理」の4つ

出張管理は単なるコスト管理の効率化にとどまらず、企業全体の生産性やコンプライアンス、そして従業員の安全を守る基盤となります。

株式会社JTBビジネストラベルソリューションズ』では、企業の出張管理を効率化するためのソリューション『ビズバンスシリーズ』を提供しています。出張申請から承認、予約、経費精算までのプロセスを一元管理できるシステムにより、業務の効率化やコスト管理、ガバナンス強化に貢献します。

さらに、渡航先の安全情報の共有や緊急時のサポートに役立つソリューションの提案と導入支援も行っており、従業員の安全確保とリスク管理にも対応可能です。出張管理の負担軽減や運用改善を検討されている企業さまは、ぜひ一度ご相談ください。

編集部
編集部
出張管理・経費精算の「ビズバンスJTB出張予約」「ビズバンスJTB経費精算」「ビズバンスJTB経費データ連携」のトータルソリューションを提供。業務課題を目的とした豊富なツールとプロのコンサルティングで効果分析や運用改善をサポートしています。25年という実績を活かし、経理や人事のバックオフィス業務をはじめとするビジネスに役立つ情報を更新しています。

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