旅費精算とは? ~精算方法や流れ、注意点、効率化の方法が丸わかり!
旅費精算は、会社の経理部門が行う業務の中でも、煩雑で手間がかかるという印象があります。その主な理由として、出張旅費規程に則した交通機関・宿泊施設が利用されているかの確認や出張手当(日当)の計算、金額の大きい社員立替や仮払いへの対応、出張の管理部門との関わりが必要であり、経費精算業務の中でも特に業務フローが複雑になりやすい点などが挙げられます。
そこで今回は、旅費精算の方法や流れ、注意点、効率化する方法をご紹介します。
▼出張の周辺業務を効率化するための3つのポイントと、具体的な実施方法をご紹介します。
旅費精算とは?
まずは旅費精算の意味や業務内容を確認しておきましょう。
旅費精算とは
旅費精算とは、出張時の宿泊費や交通費をはじめとした費用を精算することを指します。出張に行った社員からの領収書などの申請情報を元に、経理部門が精算を行います。
会社によっては、社員が先に出張で使う費用を立て替えて支払う方式を採用していることもあります。この場合は、社員が出張から帰ってきた後、立て替えた経費を経理部門に精算申請をすることで、利用した分の費用を社員に返します。
また出張中の社員の金銭負担をなくす目的で、出張前に一定の金額を社員に先に支給するケースもあります。これは仮払いと呼ばれます。
旅費とは
ここで、旅費の定義を確認しておきましょう。
会社によって、どのような費用が旅費に該当するかは異なりますが、例えば、出張の行き帰りに使用する電車や新幹線、飛行機などにかかる交通費や、出張先で利用するホテルや旅館などの宿泊費を指します。
通常、会社では旅費に該当するものが何であるか、出張旅費規程が定められており、それに基づいて取り扱うことが求められます。
一般的に、出張先で取引先に接待をした際の費用は経費として取り扱われますが、旅費ではなく、接待交際費として取り扱われます。
また、接待ではなく、社員が出張先にて個人で食事をする際の食事代については、通常経費にはならないため、旅費にも含まれません。これは、食事代が出張に行かなくともかかる費用であるためです。ただし、出張旅費規程により、出張手当(日当)として支給する場合もあります。
旅費精算の方法・流れ
旅費精算は、基本的に次のような方法と流れで行われます。あくまで一般的な例となりますので、実際には会社によって異なります。また、今回は旅費を社員が立て替えるケースを想定しています。
1.出張する社員による出張前の旅費申請
出張する社員本人が、出張でどのくらいの旅費がかかるのかを社内に申請します。例えば、旅費申請書を記入して上長に提出します。
事前に申請することで、出張後、スムーズに精算を行うことができます。上長が申請を承認した後で、出張に行くことが可能になります。
2.出張する社員による旅費の立て替え
出張中、社員は旅費として費用を立て替えます。立て替えた際には領収書を必ず受け取る必要があります。また、領収書の宛名は会社名にしなければなりません。領収書は会社に提出することになるため、紛失しないよう注意が必要です。
3.出張する社員による旅費精算書と領収書の記入・提出
社員が出張から帰ってきたら、旅費精算の申請を行います。交通費や宿泊費など、旅費としてかかった項目や金額を旅費精算書に記入し、領収書と共に上長に提出するのが一般的です。
4.上長の承認
上長が旅費精算書と領収書を確認し、問題がなければ承認します。ここでは、出張前の旅費申請書の内容と大きな相違がないかを確認します。
5.経理部門への申請
上長により旅費精算書が承認されると、経理部門へ旅費精算書と領収書が行き渡ります。
6.経理部門による旅費精算書と領収書の精査
経理部門では、旅費精算書と領収書の精査を行います。ここで重要なのは、出張旅費規程の規定の範囲内で申請が行われているかという点と、不正な申請がされていないかどうかをチェックすることです。注意すべきポイントは後述します。
7.経理部門による精算
経理部門において精査を行った後、問題がないことがわかれば、精算を行います。出張に行った社員に、立て替えた分の旅費を支給します。
経理部門では、仕訳した上で帳簿への記入などを行い、記録作業を行います。領収書は原則として7年間の保管義務があるため、保管管理を行います。
旅費精算で経理部門が注意すべきポイント
旅費精算で重要な役割を担う経理部門が注意すべきポイントをご紹介します。
旅費として精算できるかどうか・妥当性の確認
旅費精算書と領収書を確認する際には、旅費として精算できるかどうかや、その申請内容が妥当かどうかの入念な確認が必要です。例えば、取引先との飲食代が申請されていた場合は、通常、旅費ではなく、会議費や接待交際費での処理が必要なため注意が必要です。
出張旅費規程の周知
社員が出張旅費規程の内容について、理解が不十分なまま旅費申請を行うと、差戻や修正など、経理部門の手間が増えてしまいます。あらかじめ、出張旅費規程や旅費申請にまつわるルールの周知を行う必要があるでしょう。
不正受給のリスクの回避
社員が事実と偽って申請し、不正に旅費を受け取るケースはよく生じています。例えば、出張前に新幹線を利用するルートを申請した上で、実際は安価な夜行バスを利用して出張に行き、後で会社からは新幹線代を受け取り、夜行バス代を差し引いた差額を不正受給するといったケースです。経理部門は、このような不正受給リスクを回避するために、領収書が偽造されていないか、他に安価なルートはないかなど、入念に旅費精算書と領収書を精査する必要があります。
領収書の入手と提出を社員に促す
領収書は基本的に旅費精算に必要であるため、入手方法を経理部門でも確認しておき、社員に確実な提出を促すことが必要です。領収書が発行されないケースもあるため、このようなケースではどのようなルールにするのかをあらかじめ社内で規定しておくことも求められます。
煩雑な旅費精算を効率化する方法とは?
旅費精算は、出張者・上長・経理部門にとって煩雑に思われがちな業務です。そこで、旅費精算全般を効率化するための方法をご紹介します。
出張手配の外部委託による旅費の立て替え削減
社員による旅費の立て替えと精算は、旅費精算を煩雑にする一つの要素です。そこで立て替えそのものをなくす方法があります。
その一つが、出張手配を外部委託する方法です。外部委託先は、交通機関や宿泊先などの出張手配を代行するビジネストラベルマネジメント会社です。このような会社に委託すれば、基本的に会社一括請求にて出張手配ができるため、社員による立て替えは不要になります。
一括請求であれば、会社側が実際の利用交通機関や宿泊先、費用を把握できるため、出張者の不正抑止にもつながります。
コーポレートカード活用による旅費の立て替え削減
旅費の立て替えは、会社決済型のコーポレートカード(法人向けクレジットカード)を活用することでも削減することができます。交通費や宿泊費は、すべてコーポレートカード払いにするようにします。結果、請求はすべて会社にいくため、社員による立て替えは不要となります。
出張精算システムで旅費精算書の作成・チェックを効率化
出張精算システムを導入することで、効率化する方法です。出張精算システムは、旅費精算システムとも呼ばれます。このシステムは、出張のチケット手配や実績データの精算書への取り込みなどが可能な経費精算システムのことを指します。
立て替えの削減や、旅費精算書の作成・チェックの効率化により、経理部門の負担軽減につながります。
旅費精算の効率化につながる出張精算システム
旅費精算を効率的に実施するには、出張精算システムが有効ですが、その一つとしておすすめなのが、JTBグループが開発した『J’sNAVI NEO(ジェイズナビ ネオ)』です。
J’sNAVI NEOは、出張手配機能を有する経費精算システムであり、出張の事前申請~手配~精算までワンストップで行うことができます。
新幹線・航空機・ホテルなど、国内外のオンラインチケットを手配することが可能であり、出張申請と同時に簡単に手配ができます。チケット代などは会社一括請求であるため、出張者の立て替えによる負担も解消できます。
予約情報は旅費申請書と連携し、利用実績データを旅費精算書に取り込むことができるので、出張者による申請、経理部門による精算の手間やミスの軽減につながります。
経理部門や上長など管理側は、出張申請フローの中で手配内容を把握することができ、内容のチェック・承認も楽に行えます。手配内容の見える化により、不正防止につながるメリットもあります。
細かい出張旅費規定にも柔軟に対応でき、日当の自動計算や、コーポレートカードやビジネスプリペイドカード連携、交通系ICカード連携などの機能も実装しているため、旅費精算の煩雑さを解消します。
勘定科目の自動仕訳や会計システム連携など、一般的な経費精算システムが持つ機能も兼ね備えており、旅費以外の経費精算も可能です。
旅費精算の効率化をお考えの方は、ぜひご検討ください。
▼出張の周辺業務を効率化するための3つのポイントと、具体的な実施方法をご紹介します。