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インボイス制度における事業者登録番号なしの領収書の扱い|経費精算の応用知識

インボイス制度の開始により、企業や個人事業主にとって、経費精算や請求書管理の対応はこれまで以上に複雑になっています。

特に、「事業者登録番号」「適用税率」「消費税額」などの情報を請求書に正確に記載し、保存することが求められるようになったことで、「登録番号がないと消費税の控除は受けられないのか?」「登録番号なしの領収書でも経費精算は可能なのか?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、インボイス制度の概要や消費税控除に関する基本ルール、経過措置期間についてご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.インボイス制度とは
  2. 2.インボイス制度で消費税の控除を受けるには?
  3. 3.インボイス制度導入後の経過措置期間
  4. 4.あわせて押さえておきたい「媒介者交付特例」と「代理交付」
  5. 5.まとめ


インボイス制度とは

インボイス制度とは、売り手が買い手に対して「消費税額を正確に記載したインボイス(適格請求書)」を交付し、買い手がその書類を基に消費税の控除を受けられる制度です。

この制度の目的は、消費税の納税額を正確に把握し、不正やミスを防ぐことです。インボイスには、「事業者登録番号」「適用税率」「消費税額」など、決まった情報を正確に記載する必要があります。

インボイスを発行できるのは「課税事業者」に限られており、これまで消費税を納めていなかった「免税事業者」は発行できません。そのため、免税事業者との取引では、買い手が消費税の控除を受けられなくなるというデメリットが生じます。

その結果、取引先からインボイスの発行を求められたり、免税事業者が取引先に選ばれにくくなったりするケースも出てきています。こうした背景から、これまで免税事業者だった事業者が、課税事業者への登録を検討する動きも広がっているようです。



インボイス制度で消費税の控除を受けるには?

インボイスには、登録番号や税率、消費税額など、一定の情報を正しく記載する必要があり、なかでも特に重要なのが「登録番号が記載されているかどうか」という点です。

ここでは、登録番号のあり・なしによって、消費税の控除や経費精算にどのような違いがあるのかを解説します。


登録番号ありの領収書が必要

インボイス制度で消費税の控除を受けるには、登録番号が記載された領収書が必要です。登録番号のない領収書では原則として控除が認められず、企業の納税額が増える可能性があります。


インボイス制度導入後の経過措置期間

インボイス制度の「経過措置期間」とは、事業者がインボイスに対応できるように、一定期間だけ特例を認める期間のことです。経過措置期間中は、インボイスを発行できない事業者との取引であっても、仕入税額控除を一定の割合で認める特例が適用されます。

インボイス制度の経過措置期間と仕入税額控除の割合については以下のとおりです。


▼インボイス制度の経過措置期間

経過措置期間
仕入税額控除の割合
2023年10月1日〜2026年9月30日
80%
2026年10月1日〜2029年9月30日
50%
2029年10月1日〜
控除不可

日本税理士会連合会『インボイス制度実施に当たっての経過措置について』を基に作成


2029年9月30日までの取引に関しては、インボイスを発行できない免税事業者との取引であっても、一定の割合で仕入税額控除が可能です。ただし、経過措置期間が終了する2029年10月1日以降は、登録番号のない請求書や領収書では原則として控除が認められなくなるため、早めの対応が求められます。


登録番号なしの領収書でも経費精算は可能

インボイス制度では、登録番号が記載されていない領収書では、上述の経過措置期間を除き、原則として消費税の控除は受けられませんが、経費としての処理は可能です。例えば、免税事業者や個人商店からの支出であっても、業務に必要な支出であれば、帳簿や領収書を適切に保管しておくことで経費として扱えます。つまり、登録番号がないからといって、すべてが経費にできなくなるわけではありません。



あわせて押さえておきたい「媒介者交付特例」と「代理交付」

インボイス制度では、取引ごとにインボイスの発行が求められますが、売り手と買い手の間に「媒介者」が入る取引では、売り手が直接インボイスを交付することが難しいケースもあるため、「媒介者交付特例」という制度が利用できます。

媒介者交付特例とは、『委託者・受託者ともに適格請求書発行事業者であること』『取引前までに委託者が受託者に登録事業者である旨を通知すること』の2つの要件を満たしている場合に、売り手に代わって、媒介者が自らの名義と登録番号で適格請求書を交付できる制度です。これにより、買い手も仕入税額控除を適正に受けることができます。

例えば、弊社の出張予約サービスを通じて手配いただいたご利用分では、媒介者交付特例に対応しているため、ホテルや航空会社のサイト等から個別に領収書を入手する必要はなく、弊社から交付する一括請求書をインボイスとして利用することが可能です。

インボイスの交付方法には、媒介者交付特例のほかに「代理交付」という方法もあります。

代理交付とは、売り手が買い手に交付すべきインボイスを、売り手から依頼された第三者(代理人)が売り手の名義・登録番号で交付する方法です。媒介者交付特例と異なり、あくまでも売り手の名義で発行されるため、代理人自身が適格請求書発行事業者である必要はありません。

例えば、売り手が帳票発行業務をアウトソーシングしており、業務委託先がインボイスを代理交付するようなケースが該当します。この場合も、買い手は通常どおり仕入税額控除を受けられます。


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まとめ

この記事では、インボイス制度の基本的な仕組みや消費税控除の要件、特例制度について以下の内容を解説しました。


  • インボイス制度は、消費税の適正な申告と控除のために「登録番号付きのインボイス」の保存が求められる制度
  • 登録番号のない領収書では原則として消費税控除は不可
  • 媒介者や代理人が売り手に代わってインボイスを発行できる仕組みとして「媒介者交付特例」や「代理交付」があり、いずれも所定の要件を満たすことで適用可能


インボイス制度は、今後の経理処理に大きな影響を及ぼす制度です。登録番号の有無をはじめ、インボイスとして必要な記載事項を満たしているかどうかによって消費税控除の可否が変わるため、請求書や領収書のチェックをより厳重に行うことが重要です。

また、経過措置や媒介者交付特例といった制度を正しく理解・活用することで、制度移行に伴う負担を軽減することも可能です。

株式会社JTBビジネストラベルソリューションズ』では、インボイス制度対応を支援するために、AI-OCR機能を活用した経費精算ソリューションを提供しています。スマートフォンで領収書を撮影するだけで、登録事業者番号や支払先名称、税率ごとの金額を自動で読み取り、支払先名称を国税庁のデータベースと照合。これにより、手入力の手間を削減し、申請ミスの防止にもつながります。経費処理の負担軽減やインボイス制度への対応を効率化したい企業さまは、ぜひ導入をご検討ください。


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編集部
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出張管理・経費精算の「ビズバンスJTB出張予約」「ビズバンスJTB経費精算」「ビズバンスJTB経費データ連携」のトータルソリューションを提供。業務課題を目的とした豊富なツールとプロのコンサルティングで効果分析や運用改善をサポートしています。25年という実績を活かし、経理や人事のバックオフィス業務をはじめとするビジネスに役立つ情報を更新しています。

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