アフターコロナの出張事情を調査 今こそ予算の見直しを
2023年に入り、新型コロナウイルスの水際対策撤廃や5類感染症への移行によって、さまざまな制限が緩和されました。同時に、国内外の人の移動が活発化し、コロナ前の日常に戻りつつあります。
JTBグループで企業のビジネストラベルをサポートする株式会社JTBビジネストラベルソリューションズ(以下JTB-CWT)は、日頃から弊社をご利用いただいている企業様を対象に、出張経費予算に関する調査を実施しました。19業種/208社を対象にした調査から、アフターコロナにおける出張の実態が見えてきました。
調査概要
2023年度の企業の出張経費予算に関する調査
調査期間 |
2023年3月1日~3月31日 |
実施対象企業 |
2022年度取扱額の業種別上位10%企業(19業種/208社対象) |
実施方法 |
営業担当者によるヒアリング |
JTB-CWTでは、ビジネストラベルにおけるさまざまなデータ収集・分析を通じてお客様をサポートしています。記事の最後に調査結果「2023年出張経費予算(海外・国内)に関する調査」を紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。
約7~8割強の企業が制限を設けず出張を再開
観光やビジネス目的の訪日外国人は大幅に増加し、街中でもその姿をよく見かけるようになりましたが、日本から海外へビジネス目的で渡航する人の現状はご存知でしょうか?
問:2023年4月時点の海外出張に対して制限をしていますか。
はじめに、各企業の海外出張に対する制限状況を調査したところ、約68%の企業で「制限は設けず出張の再開が行われている」という結果が出ました。「特別な承認フローを設けている」とご回答いただいた企業は情報通信業及び金融業が目立っていますが、その目的は感染症対策ではなく、コスト削減を目的に運用しているようです。
問:2023年4月時点の国内出張に対して制限をしていますか。
次に、国内出張に目を向けると、一部業種によっては制限が残っているものの、約88%の企業が制限を設けずに出張を実施しているとご回答いただきました。この結果から、人々の移動に対する抵抗感が少なくなってきており、コロナ前の出張環境に戻りつつあることがわかります。
出張予算は減少傾向に
問:2023年4月時点の海外出張予算について、コロナ前の実績と比べて増減していますか
では、再開に伴って、出張予算にはどのような変化があるのでしょうか。海外出張予算については、2023年4月時点で、約半数の企業がコロナ前(2019年度)と同等での予算を設定しているという結果が出ました。しかしその一方で、企業によっては、減らす傾向にもあるようです。
問:2023年度海外出張予算について、コロナ前と比較した増減率はいくつになりますか
海外出張予算は、どの程度減っているのでしょうか。各企業のヒアリング結果を平均すると、2019年度実績比で-11.7%の海外出張予算いう結果が出ました。ヒアリング対象企業の2019年度実績をベースとして、各企業予算から2023年度想定額を算出して合算した場合、-19.7%の海外出張予算となります。出張予算を抑えている企業は、製造業、専門・技術サービス業、情報通信業といった、一部出張規制を残している業種が目立っています。
問:2023年4月時点の国内出張予算について、コロナ前の実績と比べて増減していますか
国内出張予算は、どのような変化があるのでしょうか。国内出張も海外出張と同様に、約半数がコロナ前と同じ予算を設定しながら、予算減となる企業も多いようです。
問:2023年度国内出張予算について、コロナ前と比較した増減率はいくつになりますか。
国内出張予算は、どの程度減っているのでしょうか。各企業のヒアリング結果を平均すると、2019年度実績比で-10.9%の国内出張予算という結果が出ました。ヒアリング対象企業の2019年度実績をベースとして、各企業予算から2023年度想定額を算出して合算した場合、-31.7%の国内出張予算となります。
オフラインの重要性に注目
出張予算が減っている背景には、オンライン会議等のコミュニケーションが一般的になったことが影響していると考えられています。離れていても会話ができてしまうなら、わざわざ時間をかけて足を運ぶ必要はない、と効率性を重視する人は多いでしょう。
しかし、対面(リアル)の利点を忘れてはいけません。対面(リアル)でのコミュニケーションは、人柄や気持ち、モチベーションをダイレクトに受け取ることができます。結果、人間関係を構築しやすいという側面があります。重要な場面では、出張を通じて直接コミュニケーションをとることも大切なのです。
また、リアルでの経験は、社員の育成にも良い影響をもたらしてくれるでしょう。たとえば、新型コロナウイルス感染症の流行時期に入社した新入社員は、出張を経験していない、もしくは出張経験が少ない傾向にあります。日常の仕事環境とは異なる場所に行き、普段顔を合わせない人と対面することは、新入社員の成長につながります。中堅社員やベテラン社員にとっても、出張は仕事のヒントを見つける機会になるでしょう。
まとめ 予算減・経費圧迫に備えて“出張の見直し”を
今後は、中国を中心としたアジア諸国から訪れる人がさらに増えることが予想されています。すると、出張をする人たちは大きな影響を受けるでしょう。訪日外国人客が増えることで、国内の宿泊施設の需要が拡大し、宿泊料金の値上げにつながります。また、多くの訪日外国人が日本から海外へ帰国するため、日本から海外への航空券代金が上昇する可能性も考えられます。
予算減少と同時に経費の圧迫が予想されるなかで、いかに効率的かつ効果的に出張を実施するかが問われていくでしょう。まさに今こそ、企業全体で出張の在り方を考えるときです。この機会に、出張のプロセスや予算を見直してみてはいかがでしょうか。見直しをされる際には、以下の調査結果を参考にしていただけたら幸いです。